欧州における難民・移民問題
すべての事象には、一方(自分側)から見た現象と、他方(他者側)から見た現象が存在します。今回のパリのテロ攻撃は残虐なものですが、他方でわれわれはシリアで実際に何が行われているのかについての情報をもっていません。実際の爆撃がどのような被害や「成果」を生んでいるのか、アメリカ、フランス、イギリス、ロシアがいったいどのような活動をしているのか、なぜISという残虐な組織が生まれ、誰がどのように支援しているのか。いったい、シリアで使われている武器は、どのように運ばれ、誰がそれを仲介しているのか。これらの本当に重要な事柄について、ほとんど情報がありません。 | |||
もしかして、ISはアメリカがイラク統治に利用しようとして組織した部隊の一部が遊離したものではないか等々、疑問は尽きません。 | |||
しかし、本邦のメディアはもちろん、国際メディアもこのような最前線のニュースを伝えることはありません。CNN経由のニュースしかみれなければ、アメリカ映画のような単純な白か黒かの、勧善懲悪のストーリーを見せられているだけです。 | |||
今時の欧州への大量の難民・移民の移動でも、誰が密航を組織しているのか、誰が資金を出しているのかというニュースはほとんどありません。ヴェトナム戦争の時には、命を賭けて取材したニュースが流れてきたものですが、今は大国が流すニュースしか目にすることができません。 | |||
すべての事象について、もっと頭を使って、思いをめぐらすことが必要ではないでしょうか。集団的自衛権を背景に、日本が有志連合のなかで、もっと軍事的に貢献すべきだなどという短絡的な議論が、日本で蔓延しないことを祈ります。 | |||
盛田 常夫(2015年11月19日) | |||
pdf形式ファイルにて収載しています。 | |||
難民問題資料(2016年4月21日) | |||
EU-トルコ間の合意とドイツ州議会選挙結果(2016年3月) | |||
欧州難民問題の現在(2016年1月) | |||
欧州におけるイスラム系移民問題(2015年11月19日) | |||
エピソードと「美談」で難民問題を理解することはできない (2015年9月20日) | |||
傍観者から当事者へ(2015年9月18日) | |||
イデオロギーで難民問題を解決することはできない (2015年9月16日) |